©2022 Komatsu KUTANI
Shape of the Future Executive Committee

artist/2021/0222/161400051328_2162_1216_100_auto.jpg

深澤 一正

——「新しい生活のかたち」における九谷焼を考えるうえで、どのようなところ意識して制作しましたか?

この企画のプロデューサーが言う10年先20年先の「新しい生活のかたち」とはどのようなものかその背景となる世の中を様々な情報からまとめてみた。
・脱炭素社会 CO2排出削減、自然エネルギーの活用など
・AI、ICT化社会 デジタル化、AI活用、リモートワークの拡大など
・交通システムの進化 自動運転自動車、空飛ぶ自動車など
・ネット販売の更なる拡大と物流改革 ドローンの活用など
・自然災害に強い社会 地震、台風、洪水など
・人口減少に対応していく社会⇒高収益体制、国際競争力のUPや輸出拡大、女性活用、外国人労働者など近未来なので以上のようなものでしょうか?九谷焼に関係するような「新しい生活のかたち」は中々見あたりません。プロデューサーから唯一具体案を引き出せた近未来社会は「コロナ禍対策」の社会ですが、これは「今でしょう!」であり、10年先20年先はコロナは終息し、SARSやMERSのレベルに消え去ってもらいたいと個人的には思っている。従い具体的な「新しい生活のかたち」の提示がないまま進んできた今回の企画は、一見格好いいが、新しい作品・商品に繋がりにくい、ちょっと無理がある企画ではなかったでしょうか?そもそも業界の売上は長年にわたり 右肩下がりであり、10年前20年前の「生活のかたち」にもマッチ出来ていないのが現状なのです。(私見)今回提案する「人に優しいティーカップ」は正直10年先20年先の「新しい生活のかたち」を意識して製作したもの ではなく、顧客が持っている潜在的なニーズに答える機能を持った、現在保有のティーカップを破棄またはお蔵入り させても欲しくなる様な、付加価値が高く、世の中にないイノベーティブな焼き物として開発したもので、世の中で受 け入れられたら良いのですが、そうでない場合も考えられる初公開の作品です。 器の形状が複雑なので、当初生産性やデザインに問題があり型の作り直しを行っている。


——今回の作品の見どころを教えてください。

多くの人が熱い日本茶が入った湯呑を持った時に「熱!」と感じた経験を持っている筈ですが、火傷をするわけでも なく当たり前のこととして長い歴史の中で改良もされずに見逃されてきました。昨年ある所で「熱!」を経験した際、改めて不快なものであると認識しその改良に取り組んだ。温度を下げるだけならマグカップの様な取手を付けたり、単に器の肉厚を熱くすれば良いのだが、日本的な良さが失われてしまいます。伝熱や放熱性能を考慮し、持ち手部分にフィンを配した構造を考案。作り方としては、ろくろでは製作困難であることから、上から見て多角形形状で石膏型を用いた 泥漿成型としたが、この時点のデザインはもはや伝統技術では製作困難であり、3DCADや3Dプリンタなどの最新 技術を活用している。フィン付きの温度低減効果は取手と比較できるものではなく僅かなものだが、フィンの下の方の 熱い所をつかまない様にフィンの形状が工夫されている。特許調査も実施したが、今回の作品は日本初、業界初と言え るものです。日本茶用の湯呑をベースに考えたものだが、もう一つは紅茶やコーヒーにも適用し取手付きマグの文化を変えられないか?に挑戦する作品です。


——今回の取り組みのご経験を、今後のものづくりにどのように生かしていこうと思いますか?

今回の作品はどちらかと言うと、今まで取り組んできたコンピューターを活用したデザインの延長上のものです。今後の新しい商品・作品を開発する際の大事なキーワードを紹介します。
・問題意識を持ち、それを改善する努力をする。Necessity is the mother of invention. 
・自分が高いお金を払っても買いたくなるものを作る。

略歴

artist_name

深澤 一正

早大理工学部卒。大企業で長年グローバルマシンの開発部門に従事。九谷焼技術研修所卒業後、2016年イルミナ九谷研究所を設立し、時代にマッチした新しい九谷焼の商品化を推進。
http://www.illumina-kutani.com

本展での出品作品

work/2021/0222/161400318367_2161_1217_100_auto.jpg